「別れちゃったんでえ!
迎えになんか来ませんよ!」
彼女は、
叫ぶような口調で言い放った後、
咲いた花が萎れるように縮こまって
膝を抱きました。
でろんでろんに酔っ払って、
植え込みの側に座り込んでいる女の子に、
その子とは
どう見てもアンバランスなおじさんが
しゃがみ込んで話しかける様子が
わたしの目に映ったのが
数十メートル手前。
《あああ》
約10メートル手前で、
帰りが少し遅れるような気はしました。
「大変そうですね。
お水か何か、買って来ましょうか?」
近づいて声をかけると、
わたしの顔を見ないで、
何も言わずに立ち去るおじさん。
《はいはい。やっぱりね》
彼女いわく、迎えは来ない。
歩けないほど酔ってちゃ、
タクシーも期待出来ない。
ずっとそばにもいてあげられないけど
そのまま放ってもおけない。
結局、おまわりさんに引き継いだんですが、
その後、
帰りの電車内で
色々と考えちゃいましたね。
勿論、別れ方にもよるとは思うけれど、
別れた彼女のピンチ、
貴方なら、
「しょうがないな」
って、
駆けつけてあげるのかしら?
別れた彼氏のピンチ。
わたしなら、
どうしたんでしょう。
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本日の合言葉
「通りすがり」