同窓会当日になり、私は会場へと向かった。
「久しぶり!」
そう声を掛けてきたのは、唯一中学校時代仲の良かった、由美子だった。
由美子は中学校時代から、私とは無縁だと思うほどの美人で、男子からも女子からも人目置かれる存在だった。
この同窓会の招待状を送ってくれたのも、由美子自身だった。
私「誘ってくれてありがとうね」
由美子「何言ってんの、誘うに決まってんじゃん、ほら、あんたがあの時気になってたアイツも来てるよ」
そういうと、私の腕を引っ張りスタスタ歩き出した。
私が何か言おうとする間もなく、そのまま彼の前に、ポンと背中を押された。
私「ひ、ひさしぶり、げ、元気だった?」
たどたどしい私に彼は優しく微笑んだ。
彼の前に立ち顔を見ると、あの時の記憶が蘇り、心臓の鼓動がトクトクと早くなるのがわかった。
(ダメだ……ドキドキなんかしちゃいけない……私には旦那がいるんだ)
頭の中で、旦那のことがチラチラ、チラついた。
彼「今日さ、この後時間ある?」
私「う、うん、大丈夫だよ」
その時私は後ろに腕を回し、左手の薬指についている指輪をそっと外し、ポッケに入れた。