私「おまたせ」
彼「じゃ、いこうか」
彼は私の手を握りバーを後にした。
外は、夜風が気持ちよく、程よく酔った私の頬を風が通り過ぎた。
ネオンの光が通りすがる人達の心を抑揚掻き立てる。
私もその中の1人に過ぎなかった。
彼「ここにしようか」
彼は自然な感じで私の肩を抱き寄せ歩きHOTELの扉を開いた。
今の旦那とはHOTELに来たことが無かった私にとっては未知の体験。
私「私、HOTELに入るの初めて」
そう彼に告げると、慣れた手つきで部屋を選び、フロントに向かった。
そこはフロントの中の人が手が一つ出るか出ないかの小窓があり、そこから部屋番が刻まれた、チェーン付きの鍵を受け取った。
従業員「ごゆっくり」
そのままエレベーターに向かい部屋番のある階数を押し、静かに扉がしまった。
一つ一つ上がっていく階数の数字を眺めていると、彼は不意に唇に優しく軽くキスをした。
こんなにやさしいキスをされたのは初めてだった。
旦那とはお互い初めてだった同士もあって
AVや雑誌で見たのを真似しただけのキスしかされたことが無かった。
部屋のある階に着くと、絨毯の引かれた廊下が広がり、静かなBGMが流れていた。
部屋の前に付き鍵を開け入るととっても広い室内が広がった。
部屋の中は時計など存在せず、2人の時を邪魔するものは何も無かった。
彼は私をベッドの縁に座らせると、私の顎をそっと引き寄せキスをした。