Tはサッカー部、顔はかっこよくないけれども、異常にモテた。
それもそのはず、とっても優しい性格の男であった。
ある日の部活終わり、暇を持て余した私はTの家にお邪魔した。
Tの部屋に入り、あまり時間を置かずにキスをしたと思う。
「ヤニ吸う人、きらい?」とTが言う。
それ、キスをしてから言う台詞じゃないでしょと思いながら、ううんと答える。
同じ部活のMとYが、Tのことを好きだと知っていた。
私は別にTを好きではないけど、Tの部屋にいて、キスをしていて、今から「そういうこと」をする。
変なの、と思いながら身を任せた。
Tとはその後、少しの期間セフレとして続いた。
「俺、お前んちも行ってみたい」
「うちは父親がうるさいから、来るならセフレじゃダメや。彼氏とかじゃないと」
「彼氏のフリくらい全然するよ」
「なら、いつかね」
これがセフレとしての彼との最後のやりとり。