そろそろ無視も限界である。
行かせろと伝えるも、意に介さないといった風。
「何がですか?私に対してそんな言葉遣いで良いと思っているんですか?自分のおかれている状況を分かっていませんよね?」
そんなことを言われた気がする。
ダメだ、頭はまだ ぼおっとしていて
なぜだか目頭が熱い。
「先生、泣いちゃったんですか?おしっこしたいんですよね?
『ボクは赤ちゃんなので、おトイレで"しーしー"させてください』って言ってくれたら、お手洗いに連れて行ってあげます」
誰が言うかと 表情に出る前に、より暴行を押される。
情けない声で、やめてほしいと懇願した。
もう限界である。
家庭教師の身で、あくまでボクは被害者だけれども、こんなところで漏らすことは一番避けたい。
「先生、お願いの仕方 忘れちゃいましたか?
『ボクは赤ちゃんなので、おトイレで"しーしー"させてください』って言うんですよ。
あーあ、こんなに腰をくねらせて、おしっこ我慢がつらいんだね。
ここで漏らすことの方が、尊厳が傷つきそうなので、ちゃんとお願いした方が楽じゃないですか?」
圧の強い取り調べや、誘導尋問とは、このような感じなのだろうか...などと全く関係のないシチュエーションに思いを馳せる。
そうやって意識を飛ばしながら、彼女の指定する台詞を何度も言わされ、ようやく放尿の許可が出たのである。