「トイレはこっちです。そういえば、今まで一度も使ったことなかったですよね」
手を引かれて連れられたのは、バスルーム。
押し込まれ、鍵を閉められる。
バスタブに腰掛ける彼女は、この部屋に不釣り合いな、タートルネックと白いスカートという出立ちで
一方ボクも、ブリーフを穿いたままで。
何もかもに思考が追いつかず
あの...トイレ...と単語を振り絞る。
「ここが おトイレですよ」
ボクのために用意されたのであろうか、床に置かれた真新しい風呂桶を足でボクの足元へやる彼女。
まさか、ここで...?
「我慢も限界でしょう」と言いながら、伸ばした脚でボクの膀胱を踏むように抑える彼女。
さっきから涙が止まらない、情けない。
膝をつき、風呂桶の上に屈む姿勢になったボクの頭を、彼女は手で押さえつける。
「これでよく見えますね、先生。おしっこしてるところ」
バタバタと雫が音を立てる。
うわあ、はしたない音を出すんですねと彼女。
若干エコーのかかるお風呂場で、ボクは最後の尊厳をも、排水溝へ捨ててしまったのだ。
おしまい