上司は40歳で長身、黒縁眼鏡で、肌が浅黒いスキンヘッドの男でした。
その姿はなんとなく初対面の時から私に威圧感を与えました。
私は毎日上司と二人きりで仕事をしていました。
上司はスポーツが好きでした。
だから、私はスポーツの話題はそこまで詳しくないけれど、上司から話しかけられたときは一生懸命リアクションするようにしていました。
上司は自分と違う意見を言われるのが嫌いでした。
だから、私はそうは思わなくてもなるべく上司が言ってほしそうな返答をするようにしていました。
上司は聞き返されるのが嫌いでした。
だから、私は上司になんのことだかわからない質問をされたときは、なんのことだか確認せず自分で想像して返答するようにしていました。
それらに注意を払わないと私の上司は不機嫌になるからです。
上司と話すのは苦痛でした。
話しかけられるのも話しかけるのも恐怖でした。
毎日生きた心地がしませんでした。
辛くなった私は、個人でコンサルをしている女性に相談をしました。
女性は、「神様」という名前でした。
神様は言いました
「毎日その日あった良いことを書き出してみてください。そうしたら、良いことに目が向いて、毎日幸せを感じられますよ。」
と。
私はやってみることにしました。
月日(月曜日)
・仕事がある
・仕事で怒られなかった
・風邪引いてない
私はこの日幸せでした。
月日(火曜日)
・仕事で怒られなかった
・お弁当がおいしかった
・家族が健康
私はこの日も幸せでした。
月×日(水曜日)
・お茶がおいしかった
・空気吸えた
・電車が遅延してない
私はこの日も幸せでした。
・
・
・
良いことは毎日ありました。
私はそもそも健康でほとんど不自由のない生活をしていました。
だから「私はとても幸せでした。」
それでも生きた心地がしない、息が苦しくなるような感覚が毎日あるのも事実でした。
良いことを書き出してから、なぜかむしろ辛さも鮮明になっている気がしました。
幸せなのになぜ私はこんなにも・・・
私は神様にまた相談しに行きました。
神様は
「良かったことを書き出してみてどうですか?何か変化はありましたか?」
とカフェラテを飲みながら笑顔で私に聞きました。
私は
「変化ないですし、辛くなるのでもう書きたくないです。やめていいですか?」
と返しました。
神様は困った顔をして言いました。
「何も変化がないなんてはずはありませんよ。この方法で他のクライアント様からはみんな毎日が楽しくなった、良かったと好評の声を頂いています。
あなたはなぜそう思わないんですか?」
私は、うーん、と考えてしまいました。
私がおかしいのだろうか?
みんな良かったと言っているのだし。
良いことは毎日あるし、自分が幸せなこともわかってる。
ただ、幸せなのになぜ私はこんなにも苦しく不幸なんだろう。
でも、神様にそれを言ったところでわかってもらえない気がしたから、どう伝えようか迷っていました。
神様は黙り込んでしまった私に呆れたのか、
「あなたにひとつ言いたいことがあります。」と言いました。
お説教をされると思った私は、注文していたハーブティーを急いで飲み干し、
「すみません、そのお話は大丈夫です。
今日は帰ります。」
と言って席を立ち、出口に急ぎました。
喫茶店を出たら、緊張の糸がほぐれて、背中にドッと疲れが乗っかるのを感じました。
私はゆっくりと駅への道を歩きました。
・神様とお話しできたこと
・おいしいハーブティーが飲めたこと
・健康で今、歩けていること
私は、幸せです。
私は、幸せです。
私は、毎日幸せです。
数えたらキリがない幸せが今日もそこにありました。
私は歩きながら呟きました。
「あー、しにてぇ」
7月の出勤予定
7/21(日)10:00~20:00
いつも予約を検討してくださりありがとうございます。
また、私のために時間とお金を使って会って下さるあなたにはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。
長い付き合いになっても1回だけだったとしても、いつも幸せを願っています。
辞めるわけじゃありません。