喉いたーい、熱たかーい…
こんな日は、幼い頃が走馬灯のようにくるくると回ります…
昔、家で黒猫を飼っておりまして。
黒猫は大変に賢く、またハンターでもありました。
蝉やネズミはおろか、近所中の鳥という鳥をハントするので、洗車なさる奥様方の悲鳴を聞くたびに窓をそうっと閉めるのが我が家の日常でした。
(猫という生き物は、大抵車の下で獲物を食すので食べ残しが車の下に散るのです…羽とか足とか)
買い物に行けば店の外で待ち、呼べば犬のようにやってくる。
誰しもが賢いわねえと黒猫を褒めておりました。
黒猫はさも当然と言わんばかり。
私なぞ家族の最下位とでも言うような態度で、父や母に愛でられる反面、食卓を用意するのが私だと分かるやいなや机に乗り、刺身を当たり前のように食べてしまうのです。
豪胆というか、舐められていたと言うか…
当時の私はと言えば、身体が弱かったせいで本ばかり読み、1ヶ月に一回は高熱を出すありさま。
同じひとつ屋根に住む黒猫も、心配してくれていたのかもしれません。
ある時、熱を出して寝込んでいた私の部屋に、黒猫は「精力つけろよ」とばかりにハントした鳩の頭をお土産してくれたのです。
夜中にトイレで目覚めて、それを発見した時、軽く踏んづけてしまった私の気持ちたるや…
けれどもショック療法とでも言うのでしょうか、もがれた鳩の頭を踏んづけて以来、熱は下がりました。
熱で心が弱るせいか、その時の黒猫をツラツラと思い出します。
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