きっと私の分まで泣いてくれてるのかな
空は優しいね
帰り道、そう言って別れた友人は、
両親がずっとケンカばかりで
小学生の頃は失語症だった。
中学に上がると、認められたいと言っていた
掲示物として張り出した目標も
「優しい人になりたい」
学校の成績も良くて、走ると早く、
皆が嫌がる委員会も笑顔でこなして、
先生にも好かれてた。
受験は誰しもが太鼓判を押していた。
幼馴染というだけで
端にも棒にもかからない根暗な私にすら
放課後一緒に帰ろうと誘ってくれた。
-お母さん実家帰るから準備しろって。
誰にも言うなって。
帰り道、何かを吐き出すように言った。
あの時、確かに空気は濃密で、私達は
妙に息苦しい毎日を過ごしていたと思う。
-上手く行かないね
彼女は自販機のポカリを買って半分くれた。
気後れしながら飲んでいたら、
ポツポツと雨が降り出した。
カバンを頭の上に置いて、おどけたように
笑って手を振った。
2度と会えない友人の為に、
空が泣いていた。
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