いえね、仲良く遊んでいた女の子が
おりましてね。
家の斜向かいだったもので、よく遊びに
行ってまして。
遊んでくれた女の子は3つか4つ年上の
お姉さんで、いわゆる鍵っ子でした
女の子のお母さんはいないものですから
家の中では遊びたい放題で。
よくテレビを付けて、お人形遊びも
しましたし、お菓子も食べました。
夕方になると、その女の子もお父さんと
一緒に銭湯に行くものですから、お風呂で
鉢合わせしたりして。
はしゃいで長湯しておりました。
女の子の使うビオレのレモンの香りが
大人だなぁと思っていましたよ。
ある日、いつものように遊ぶ約束をして
約束の時間に、その女の子の家に
向かいましてね。
ピンポンと鳴らすんですが、
反応がありません。
たまにトイレに入ってたよ、なんて事も
あったものですから、
試しにドアノブを回したら簡単に開きまして
中は明かりもなく薄暗くて。
〇〇ちゃーん?と呼びながら玄関の上り框に
身体を寄せてみると、見知らぬおじさんが
居間に立ってましてね。
銭湯でよく女の子のお父さんに
挨拶してましたから…
居間に佇むおじさんは、
全く知らない人だと分かるわけです。
そのおじさんと目があい
何故でしょうか、無性に怖かったのを
覚えていますよ。
〇〇ちゃんは
どこに居るかと聞かれましてね。
〇〇ちゃんの親に頼まれて、
呼びに来たんだと…
ざらっとした、嫌な話し方でございました
咄嗟に、学校に忘れ物をして
先生が探してたから呼びにきたと、
嘘をついてしまいました。
これは学校の朝礼でよく聞いた、
知らない人についていかない以外に
怪しい人にお友達を聞かれたら
そう言って学校に伝えにいく訓話でして。
〇〇ちゃん居ないみたいだから帰りますと
斜向かいの自分の家に駆けて行きました。
いつもは近い家が、
やたら長く感じましたねえ
また家の玄関がガラスの引き戸ですから
力の加減で開きにくくなるのです。
恐怖で身体が震えましたよ。
その見知らぬおじさんに、
捕まるんじゃないかってね
転がるように家の中に入って、
おとうさーんと普段なら呼ばない父を
必死に呼びましたよ。
夜勤明けで寝ていた父ですが、
さっと起きて来まして。
ステテコ姿の父を見て安心した途端に、
わあわあ泣いてしまいました
父に、つっかえつっかえ、
鼻水と涙を拭いてもらいながら
〇〇ちゃん家に知らない人がいる、
そのおじさん〇〇ちゃんを探してた、
居間に靴はいたまま上がっていた、
嘘ついて帰って来たと言いました
伝えるやいなや、父は立ち上がると
〇〇ちゃん家に向かいましてね。
ピリピリした様子で戻ると警察に電話して
学校にも電話してましたねえ。
あの時の事は今でもよく覚えています。
結局のところ、〇〇ちゃんは引越して
しまいました。
あのおじさんは捕まらず、誰なのか
分からないままでした。
何だったのでしょうねえ…
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