足の感覚が無い
雪に閉じ込められた真っ白な世界を歩く
どこをどう歩いたか覚えていないまま
宿の明かりを見つけた時はホッとした
芯から冷えていた身体を宿の浴場で
ゆっくりほぐすように湯に浸かった
息をふきかえした面持ちで
ごろりと布団に寝転がる
朝になり、宿を後に
祖母から借りた家の鍵を返すべく
姉夫婦の元を訪れた
そこで、からくり箱の事を話した
箪笥の中を興味津々で聞いていた姉夫婦と
祖母の呆れた顔を前に
ハンカチに包んだ中身を見せた
あら貴女これはホタル石ね
まぁ嫌ね、これは貝殻じゃなくて骨よ
多分あの人の弟の骨じゃないかしら
祖母はたいして驚きもせずに
祖父の弟だと言う人を教えてくれた
病弱な人でねえ
優しい人だけど、最後は心も病んで
世を儚んで逝ってしまったの
あの人のたった一人きりの家族だったから
側にいたかったのかもしれないわね
(続く)
来年初めは1月6日より出勤します
10:00〜16:00
ご用命をお待ちしてます
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