宮司の読書日記
普段読んでいる本をご紹介できたらなと思います。
少し長くなってしまうかもしれませんが
お付き合いいただけると嬉しいです
...
本日は、前登志夫「森の時間」
吉野の山間に棲む歌人である著者が、村人たちの日々の暮らしを描いたエッセイ集でした。
ひとつひとつは異なる人の描写な筈なのですが、連綿と続くエピソードはまるでひとつの物語のような趣を感じます。
著者の眼差しから、地域が伝承してきた
古のときからの様々な物語が、四季折々に自然が運ぶ一瞬の情景が目の前に立ちあらわれるようでした。
濃密な時間流れと風土の重み
古来より多くの敗者を包み隠してきた吉野以南。
茫洋とした山向こうのくらし
山びと達の確かな息吹を感得する静謐な物語でした。