### 第2話「過去と現在」 (その7)
彼女の指はいつの間にか、男の左の乳首をリズムよく、コリコリと撫でている。
彼女の唇のリズムがさらに速くなり、男はその感覚に包まれながら、ついにフィニッシュへと導かれていった。
彼の体が震え、全身が緊張から解放される瞬間が訪れた。
彼女は静かに彼を見つめながら、その余韻を一緒に感じ取っていた。
しばらくの間、二人は互いの体温を感じながら、無言で寄り添っていた。
彼の呼吸が落ち着くと、彼女はそっとベッドから起き上がり、静かに脱いだ服を整え始めた。
その時、部屋の電話が突然鳴り響いた。彼は一瞬驚き、現実に引き戻される。
彼女はすぐに電話を取り、「はい、わかりました」と短く答えた。
「そろそろ時間みたい」と彼女は少し申し訳なさそうに微笑んだ。
彼女はシャワーを浴びに行き、男はベッドに横たわったまま、その背中を見つめていた。何かを言いたかったが、言葉が見つからない。彼女は急いで支度を整え、荷物をまとめて、部屋のドアの前に立った。
「またね」と軽く微笑みながら、彼女は静かに部屋を去っていった。
男は再び一人、静まり返った部屋の中に取り残された。彼女との時間があまりにも現実離れしていて、まるで夢だったかのように感じた。
天井を見上げながら、彼女の残した温もりと余韻が、まだ体に残っていることを実感していたが、それも次第に薄れていくのを感じていた。
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はい。
今日はココまで、次は第3話ですね。