『せっかく』
「わざわざ~する」という意味の「せっかく」は、漢字では「折角とかく。
では、どんな角を折ったのかというと、これには二つの説がある。
ともに、中国の故事から出ている説だ。
第一の説によると、この角は、後漢時代の林宗という人物がかぶっていた頭巾の尖った先のことだという。
ある日、雨が降って、彼の頭巾の先が片方だけ折れ曲がってしまった。
その姿を見た彼を尊敬する人たちは、そのマネをして、わざわざ頭巾の角を折り曲げて歩いたという。
そこから、わざわざ何かをすることを「折角」というようになった。
もう1つの説には、漢の時代の五鹿充宗という人が登場する。
彼は国の高官だったが、ずいぶん高慢な人物だった。
ある日、その彼が朱雲という人と議論をして、やりこめられてしまう。
そのとき、彼の名前から、“鹿”の角を折ったということで、高慢の鼻をへし折ることを、「折角」というようになった。
これが、「骨を折る」「努力する」という意味になり、“わざわざ”といった意味に使われるようになったそうだ。