17時を知らせる時計の針が、部屋に響く静寂をかき消すように音を立てた。
外は夕焼けが広がり、窓辺には柔らかな赤い光が差し込んでいる。
私は、少しだけ乱れた髪を指で整えながら、彼が来るのを待っていた。
ドアが静かに開き、彼が現れた瞬間、その場の空気が変わった。
彼のスーツの襟元には少し乱れたネクタイが残り、疲れた表情の中に、私だけが知っている色気が見え隠れする。
「待たせたな」
低く艶やかな声が響き、私は思わず目を逸らしてしまう。
けれど、彼の長い指が私の顎に触れ、無理やりその視線を絡め取られた。
「逃げるな」
囁きに近いその声に、心臓が激しく跳ねる。
彼の指先が私の首筋に触れた瞬間、その冷たさに思わず身体が震えた。
「そんなに敏感なんだ」
口元に浮かぶ笑みは、どこか意地悪で、私は言葉を失う。
彼の手が滑らかに私の背中をなぞり、ゆっくりと引き寄せられる。
胸が彼の胸元に触れると、その熱が直接伝わってくるようだった。
彼の唇が私の耳元を掠めるように触れ、震える声で囁く。
「今夜は逃がさないよ」
その言葉が合図だったかのように、唇が重なる。
強引だけれど優しさも感じるキスは、私の中にある全ての理性を溶かしていくようだった。
彼の手が腰を引き寄せ、さらに密着する。心臓の音が聞こえるくらいの距離感に、息が詰まりそうになる。
「この瞬間が永遠に続けばいいのに…」
そんなことを思いながら、私は彼に全てを預けた。
締めの一言
少し大胆に書いてみました。
この時間が特別なものであるように、あなたにも熱いひとときを届けられたら嬉しいです…。