先日とあるお方から、自宅で咲いた月下美人の花の写真を拝見させていただいて、その花の美しさ、儚さにすっかり魅了されてしまいました。
月下美人はその名の通り、月の下でこっそりと花を開く。咲くのはたった一夜だけ。
しかも深夜、静けさが深まる頃にそっと開花し、夜明け前には儚くしぼんでしまう。
その姿はまるで、夢の中でだけ出逢える幻のよう。
その潔さと儚さに、人は何を思うのだろう。
長い時間をかけて蕾をふくらませ、誰にも見られぬかもしれない夜に、全身全霊で咲き誇る。まるで、愛する誰かのためだけに、すべてを捧げるかのように。
「美しいものは、長くは続かない。」
そんな言葉がよぎるのですが、だからこそ人の心を打つのかもしれない。
月下美人の花は、時間の大切さを、そして今この瞬間の輝きを教えてくれる。
過ぎゆく時の中で、私たちが何を選び、どう咲こうとするのか――その問いかけが、香りとともに胸に残る。
今宵もどこかで、ひと夜限りの奇跡が静かに息をしている。
誰かの瞳に映り、誰かの心に咲く。
それは静寂の中で語られる、花の物語。
のりか