かわいそうと思ってもらえるように行動してました。その方がみんなが助けてくれるからお得だと思ってました。
「あなたって風俗しかできないよね、かわいそう」
そう言われた。
「かわいそう」好きな言葉のはずなのにこのかわいそうは好きではなかった。
私、かわいそうなんだ。
かわいそうなんだ、かわいそう、かわいそう、頭の中にかわいそうがずっと残って私の心をえぐった。
風俗は簡単な仕事。
なんのスキルも学歴もいらないから。当日欠勤も遅刻もしやすいから。シフトも自由でいくら休んでも何も言われないから。
女なら誰でもできる簡単な仕事。
会社員の方がすごいに決まってる。
週5、1日8時間働かないといけないし、簡単に休めないし。
私もできるなら会社員をしていたかった。
風俗を知らない人生を送りたかった。
「あなたって風俗しかできないよね、かわいそう」
その時は言えなかった。
私ね、風俗もできてないよ。
簡単な仕事のはずなのにそんなことすらまともにできてないよ。
そんな私って、かわいそうを通り越してもうゴミみたい。
「あなたはおかしい」
とも言われた。
そんなことは前からわかってた。
風俗を始める前から私はずっとおかしかった。
そんな私はいつか独りぼっちになるらしい。
私はみーたん(飼い猫)のところに行った。
「独りぼっちになったらどうしようか」
みーたんを撫でながら私は話しかけた。みーたんは寝転んでごろごろいっていた。
「ずっと一緒にいてね」
みーたんといようと思った。ずっと一緒に。そしたら独りじゃない。
かわいそう
その人の言葉がまた頭の中に響いて、悲しかった。
それでも私は風俗を辞めようと思えなかった。
かわいそうで頭がおかしい私は、かわいそうで頭がおかしいまま風俗を続けたいと思っていた。